設備投資を行うべきかの判断基準とは?基本的な考え方を解説
事業拡大や業務効率化などを目的とし設備投資を検討している経営者がいらっしゃいます。
しかし、設備投資には一般的に高額の費用が必要であり、その資金を調達するために銀行融資を利用するのが一般的です。
したがって設備投資をすべきかどうかの判断は慎重に下さなければなりません。
この記事では、設備投資を行うべきかの判断基準をわかりやすく紹介します。
設備投資を行うべきかどうかの判断基準
設備投資を行なうべきかの判断基準は以下の通りです。
- 自社の将来性
- 運転資金に影響を与えず負担の少ない返済計画が立てられるかどうか
- 設備投資で見込める効果
それぞれの判断基準について具体的な内容や考え方を解説します。
自社の将来性
設備投資には一般的に高額な費用が必要になるので、自社の将来性をきちんと分析し、それに基づいて設備投資するかどうか決めることが大切です。
自社の将来性を分析するには以下の3つの分野を考えます。
- 自社を取り巻く外部環境
- 自社の内部環境
- 売上予測
たとえば、自社を取り巻く外部環境の分析にはPESTLE分析が使えます。
PESTLE分析は、以下の6つの要因が自社の将来にどのような影響を与えるか分析することです。
- 政治(Politics):政治の安定性など
- 経済(Economy):景気動向、インフレ率、失業率、金利、通貨の動きなど
- 社会(Society):人口動態、ライフスタイル、カルチャー、人の価値観や考え方など
- 技術(Technology):新技術の開発、技術革新、デジタル化など
- 法的(Legal):法制度や規制、税制など
- 環境(Environmental):環境への配慮、廃棄物の処理方法など
外部環境の分析には、競合他社の分析、市場や顧客の分析などが含まれます。
自社の内部環境の分析にはSWOT分析が効果的です。
SWOTは以下の要素の頭文字をとっています。
- Strength(強み):自社が他社より優れている要素
- Weakness(弱み):自社が他社より劣っている要素
- Opportunity(機会):自社が今後成長するチャンス
- Threat(脅威):自社にとって脅威となるリスク
売上予測は、設備投資をした場合としなかった場合の2つのケースで計算してください。
自社を取り巻く外部環境、内部環境、売上予測を分析し、設備投資で生産能力や品質が向上する、市場で優位性を確保できるとみなせるなら、設備投資を検討できるでしょう。
運転資金に影響を与えず負担の少ない返済計画が立てられるかどうか
設備投資では一般的に金融機関から借入をして設備投資をします。
借入金の返済負担が重ければ、資金繰りが悪化するでしょう。
設備資金の返済原資となるのは、運転資金ではなく利益です。
もっと正確に言えばキャッシュフローが設備資金の返済原資になります。
借入の年間返済額が、キャッシュフロー(当期純利益 + 減価償却費の合計)金額内であることが望ましいです。
設備投資のための年間返済額が、キャッシュフローよりも少ない金額になるようであれば、設備投資を検討できるでしょう。
設備投資で見込める効果
設備投資の金額に見合った収益が得られるかどうかも判断基準の1つです。
設備投資の費用対効果を考えるための指標の1つに「回収期間法」があります。
回収期間法は、設備投資に投じた費用をどれくらいの期間で回収できるかを計算するものです。
以下の計算式で計算します。
- 回収期間 = 設備投資の費用 ÷ 設備投資によって得られる年間キャッシュフロー
- 設備投資によって得られる年間キャッシュフロー= 設備投資によって得られる利益 + 設備投資に関係する減価償却費
投下資本の回収に時間がかかる設備投資は、効果が低く、リスクが高いと言えます。
一方で、回収期間が短いものは、効果が高く、リスクが低いと判断します。
まとめ
設備投資を行なうべきかの判断基準として次の3つを紹介しました。
設備投資の失敗は資金繰りの悪化の原因となり、それは倒産へのリスクを高めます。
設備投資のタイミングで悩んでいるなら専門家に相談してください。
税理士に相談すれば、専門的な知識とこれまでの実績に基づき、実際的なアドバイスや提案がもらえます。